当園は、野生種から近年のバラまで約1,300品種を所有しており、関東有数の品種数を誇っています。
なかでもフラワーゾーンにあるバラ園・薔薇の轍は、バラの品種改良の歴史に沿って系統、分類ごとにご覧いただける“歴史園”になっています。

バラと育種家が辿った今日までの道のりを、車の通った両輪の跡=轍(わだち)に例えて“薔薇の轍”と名づけました。
隣接する風ぐるま迷図には、モダンローズの中でも特に香りのよい品種を集めて、クレマチスと一緒に展示しています。(香りのバラのエリア)
[観賞期] 春季:ゴールデンウィーク明けから6月上旬
秋季:10月中旬~11月上旬
見ごろの時期にはローズフェスティバルを開催します。

野生種とその交配種

バラの野生種の多くは、中国西南部からヒマラヤ、西アジアにかけて自生するため、この地域がバラの起源と考えられています。
当園では、園芸品種の成立に影響を与えた海外の野生種、日本の野生種、そしてその交配種を展示しています。
見ごろの時期

オールドローズ

野生種の中から優れた性質の個体を選別したり、栽培の中で昆虫などによる自然交雑が起こるなどして誕生し、結果、残っているバラの多くをオールドローズと呼んでいます。
花の形は丸いカップ状に咲くものが多く、優雅で豊かな香りがあります。
春だけに咲く一季咲きのものが多く、色は赤、ピンク、紫、白がほとんどです。
当園では初期のほぼ一季咲きのものから、中国のバラとの交配によって生まれた四季咲きの品種まで、歴史に沿って展示しています。
見ごろの時期 春(一部秋)

モダンローズ

モダンローズは、20世紀に最も広く栽培されたバラです。
四季咲き性で、オールドローズに比べて花色が多く、花びらが外側に反り返り、花の中心が高くなる剣弁高芯咲きなど、整形的で洗練された印象を受けるものが多くあります。
1800年代に作出された初期の品種から近代に至る品種を展示し、特に近代のバラは色別に配置して多彩なバラの世界をご紹介しています。
見ごろの時期 春・秋

ミニバラとミニツルバラ

20世紀前半から中ごろにかけて改良が始まったミニチュアローズは、その1株がもっとも小さなバラです。
そのため、鉢植えや小スペースで楽しめ、都市部を中心に高い人気を集めています。
当園では、その特性を活かしてパティオ(中庭風)に展示しています。
見ごろの時期 春・秋

クライミングとシュラブローズ

長く伸びた枝を構造物に誘引して楽しむクライミングローズ(ツルバラ)やシュラブローズ(半ツルバラ)は、ブッシュローズ(木立性)よりも四季咲きでは劣るものの、一度に多数の花を咲かせるため開花期には見事な景観を作りだします。
当園のツルバラのエリアにあるつる棚は、横に大きく波打つ形をしており、これは湘南の海をイメージしたものです。
春のシーズンには、まさしく「薔薇の海」を堪能することができます。
見ごろの時期

イングリッシュローズ

イギリスの育種家デビッド・オースチン氏は、オールドローズが持つ優雅さと香りの良さ、モダンローズの花色の多さと四季咲き性を併せ持つバラの品種改良に努めました。
こうして誕生したイングリッシュローズは、1980年代中ごろより人気が出始め、90年代には一大ブームとなります。
その影響は他の育種家達にも及び、同様のクラシカルな花形の品種が近年続々と誕生しています。
見ごろの時期 春・秋

香りのバラ(風ぐるま迷図)

春から秋まで繰り返し咲く四季咲きのモダンローズの中から、特に香り高いバラだけを集めました。
シーズン中の早朝は、香水のビンをこぼしたような芳香があたりにたちこめて、特別な空間を作り出します。
迷路状に配されたフェンスに絡むクレマチスと一緒にお楽しみください。
見ごろの時期 春・秋